研究概要 |
今年度は,支援学習システムの開発を行いつつ,データ解析や支援学習アルゴリズムの開発を進めた. 開発した支援学習システムは,モーションキャプチャ,表面筋電位計測装置,視覚情報提示装置,空圧式ロボットアーム,機能的電気刺激(FES)装置などの多様な支援手段,データ解析装置,支援学習器などから構成される.モーションは近赤外反射マーカを使い,また筋電位データは無線伝送を行い,被験者に極力拘束感を与えずに済むようにした.空圧式ロボットアームは,被験者に対して,接触・非接触に運動を伝達するための装置として,今年度本科研費にて購入し,システム統合を進めた. 学習対象となる運動タスクとしては,以下の理由により,応募時に想定していた投球運動からダーツに変更して研究を進めた.投球運動は基本的に全身運動であるため,以前想定していたように,計測・実験簡略化のために椅子に拘束して片腕だけ用いる動作は熟達者にとっても不自然な動作になってしまった.一般に,ダーツの熟達者は,投擲に必要な片腕以外の身体は固定していることが知られており,また我々の計測実験からもこれを確認した.また,ダーツは投球運動と同様,その成否が容易に計測でき,かつダーツボードの中央に高い確率で当てるのは非常に困難であることを確認した. 開発したシステムを用いて,ダーツの熟達者・非熟達者のモーション,表面筋電位を計測し,データ解析を行い,両者の運動学的な差異や,動力学的な差異を調査した(今井,他.2009).今年度はシステム開発やダーツ運動の計測・解析に手間取ったため,支援学習実験にまで踏み込むことができなかったが,H21年中には対外発表が見込まれる.
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