研究概要 |
今年度は,ダーツの投擲運動を対象として支援学習に関する研究を進めてきた.昨年度,ダーツ運動の熟達には,投擲動作中の肘や肩のブレを抑えることが重要な鍵となることが示唆された.そこで今年度はこれらのブレを防ぐため,肘の位置をロボットで空間的に固定することによる効果を見る実験を行った.しかし,2点問題が生じ当初の予定通りには進まなかった.まず,本実験を複数の被験者に対して多数回の試行を行ったところ,途中で計測システムに不具合が生じるため,時折実験を一時中断せざるを得なかった.次に,非熟達者の肘の位置を空間的に固定することにより,ダーツ運動の熟達度(獲得得点)の向上が見られ,また固定を解除することにより,熟達度が低下することを作業仮説として,多数回試行・複数日に渡る実験を行った.しかし,6人いる被験者間で統一的な見解が得られるまでに至らなかった. 次年度は以上の問題を解決し,前述の仮説が検証された後,強化学習アルゴリズムを核とする支援学習実験を行なう.ダーツ投擲運動の熟達の速度向上ができるか,また,固定を解除した際の熟達度の低下を防ぐことができるかを定量的に調査する.仮説が検証されなかった場合であっても,多数の被験者を用いて,視覚情報やFESを用いた支援の効果を独立に調査する.効果が確認された支援が複数ある場合には,それらを同時に用いた場合の効果や,それらを強化学習の枠組みで時間的にスイッチしながら用いた場合の効果を調査する. 今年度は,システム開発も進めた.2Dもしくは3Dによる様々な視覚情報の提示を行なうため,3Dプロジェクタを購入し支援学習システムへの統合を行った.また,簡便な眼球運動計測を拘束感少なく実現するために,テレメータを購入し,同システムへの統合を行った.次年度にはこれらを利用した対外発表が見込まれる.
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