研究概要 |
2010年度の研究目標は,(1)相貌と言語が非同期知覚閾に及ぼす影響を測定することと,(2)非同期知覚の馴化と学習の課程を明らかにすることであった。 1. 相貌と言語が非同期知覚閾に及ぼす影響の測定 昨年制作した一般的日本人話者とコーカソイド的相貌を有し日本語を母国語とする話者が日本語文章を読み上げるビデオ映像を用い,音声と映像を非同期させて,その検出閾,理解度などを心理物理学手法を用いて測定した。昨年度より参加者を増やし,実験精度を向上させて追試を重ねたが,予想に反して相貌が非同期知覚に与える影響は見出されなかった。これに基づき,相貌要因の追究を打ち切り,有意味性と非同期ちかくの関係を明らかにすべく,日本語の発声訓練を受けた男女の話者に,話す速度を一定にして,音声学的要因を統制した通常の日本語文章,日本語音素を無作為に配列した無意味な文を読み上げさせて新たなビデオ素材を製作した。 2. 非同期知覚の馴化と学習の課程の解明 昨年度の研究で新たに発見した,主観的知覚音量の変化について,参加者数を増やして実験を行い,この現象の一般性を確認することができた。また,新たに音声・映像非同期が音源定位の及ぼす変化に着目し,これを実験的に確認した。
|