研究課題
本研究の目的は、明治(近代化)以降の日本において、印刷メディア(図書、雑誌等)の発展、普及と近代図書館の役割がどのような関係にあったのかを、出版、その他の情報メディア、図書館、教育等の統計データの体系的かつ包括的な収集・分析による実証的解明である。研究の第三年度にあたる平成22年度は、第一年度に行った「社会的な資料利用の総体を対象とした経年的な分析」にかかわる基本データの収集、整理、第二年度に行った前記データの分析および追加データの収集、整理作業の成果に基づいて、以下の(1)~(3)の作業を行った。(1)第二年度までに収集・整理した各種情報メディアの生産、流通、消費に関する日本の各種統計データを用いて、20世紀後半のメディアの多様化における、メディア間の相互関連、すなわち、補完関係、競合関係等に着目し、他のメディアと比較した際の印刷メディアの特徴を分析した。(2)戦後日本における個人の印刷メディア環境の変容を分析するため、図書、雑誌の実売部数、日刊新聞の発行部数、公共図書館の個人貸出数に経済成長率を加えた5つの時系列変数を用い、印刷メディア流通量変化の相互関係の詳細な分析を行った。(3)図書のライフサイクル特性(内容的な寿命、耐用年限)を分析するため、改訂版の刊行状況の実態を把握するための書誌データ収集および分析手法を検討し、パイロットサーチを実施した。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Publishing Research Quarterly
巻: vol 26, no.4 ページ: 272-286