研究概要 |
本研究は,政策法務業務の増大に対応する法令文作成支援と,国際社会のグローバル化に対応する法令英訳支援のために,構文情報付き日英法令文コーパスの構築と利用のための手法を確立することを目的としている.本年度は,主に以下の成果を得た. 1. 構文情報付き日本語法令文コーパス構築:日本語法令文における構文情報として,文節間の依存関係(係り受け関係)の表現手法を確立した.その際,括弧書き,等位接続,列挙など日本語法令文特有の構文も依存関係の一種とみなして表現した. 2. 構文情報を活用した日英法令文の検索・閲覧・編集GUIツール設計・開発: (1) 係り受け関係が付与されている日本語法令文コーパスに対して,法令文を文節単位でKWIC表示すると同時に,その係り受け関係を可視化するツールKWISCを開発した.このツールは,語の共起関係や文脈の理解を支援するものであり,日本語文の読解や作成に有用である. (2) 入力キーワードが構成する依存関係を含む英文法令文を検索するツールESCORTを開発した.また,英文の提示方法を改善するために,英文の構文を適切に圧縮する技術も開発した. 3. 日本語法令文コーパスからの構文パターン抽出・類型化,および構文情報を活用した法令用語シソーラス構築:語に対する近接関係(語の左右の文字Nグラム)を文脈として用い,日本語法令文中における定義語をシードとして与え,ブートストラップによって学習することにより,日本語法令文中の重要語と文脈パターンを自動獲得する手法Monakaを開発し,その性能を法令用語日英標準対訳辞書との比較などにより検証した.
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