研究概要 |
実世界で生起する確率的事象には、交通事故、路上犯罪などネットワークの上、または都市内の店舗立地などネットワーク沿いで生起する事象が極めて多い。本研究は、その分析を行うために、以下の目標を掲げている。 第1にネットワーク空間と最短経路距離を前提とする新たな統計空間分析法であるネットワーク統計空間分析法を開発する。 第2に、得られたネットワーク統計空間分析法の効率的な幾何学算法を開発する。 第3に、その算法を使ってネットワーク統計空間分析法を容易に利用できる道具箱(ソフトウェアパッケージ)とそのウェブ利用システムを開発する。 第4に成果たる方法、算法、ソフトウェアを体系的に理解できる教科書を出版する。 21年度においては、上の4つの目標に関し、以下の研究成果をあげた。 1. 前年度開発したネットワーク上の点密度を推定するカーネル法をJournal of Geographic Information Scienceに投稿したところ、審査付き論文として受理され出版された。同様に昨年度開発したネットワーク上の点のクラスター分析法をGeoInfomaticaに投稿したところ、審査付き論文として受理され、ウェブでは公開された。また新たに根とワーク上のKriging法について研究を進めた。 2. ネットワーク統計空間分析法で共通に使われる基本算法をまとめ、第3章の原稿としてまとめた。 3. 昨年行った既存ツールを含む多くのツールからなる道具箱の概念設計に基づき実装を始めた。またネットワーク空間上の空間分析に関連する文献を整理し、そのデータベースを作成してウェブで利用できるシステムの実装を行った。 4. ネットワーク空間統計分析法の教科書の第1,2,3章の英語版を完成させた。また弟4,5、6、7章の素案を作成した。
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