研究課題
ゲノム上で、嗅覚受容体遺伝子のクラスター領域、制御領域、リガンド結合部位を網羅的に同定し、それらの配置座標と予測した受容体-リガンドとの対応をつけるため、以下の3課題を行なった。a)リガンドに対する嗅覚受容体応答プロファイルの作成と解析:リガンドに対するGPCRの応答を予測するため、機械学習法(SVM法)を利用した2-way prediction法によるプログラムを開発した。これは、未知のGPCRが存在する場合に、従来のJacobら(2008)の手法に比べ精度を約5%向上させ、未知のリガンドが存在する場合と未知のGPCRが存在する両方の場合についてどちらも85%~87%の精度で予測することに成功した。マウスの嗅覚受容体配列に対してこの方法を用い特定の匂い分子に対する受容体応答プロファイルを作成した。b)受容体遺伝子クラスター領域、制御領域の同定:既知遺伝子クラスター内の隣接遺伝子を特徴付ける6つの記述子を基に機械学習手法(SVM)を用い、マウスゲノム配列上の嗅覚受容体の高度集積クラスターを181箇所同定した。次に、遺伝子クラスターの上/下流の領域において、共通に保存される配列領域あるいは既知の制御領域と類似した領域を複数同定した。これらが実際にクラスターを制御しているかは未だ不明である。c)リガンド結合領域の解析:マウスの嗅覚受容体の匂い分子結合部位の残基に物理化学的パラメータ(アミノ酸残基の大きさ、電荷、疎水性値など)を割り付けベクトル化し、主成分分析、正準相関解析、自己組織化マップ(SOM)解析で分類したうえゲノム配列上に位置付けた。匂い分子結合領域が類似した遺伝子同士は、高密度クラスター領域内で、複数のサブクラスターを形成していた。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
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Reverse Chemical Genomics, Methods in MOLECULAR BIOLOGY Chapter4 "Computational Overview of GPCR Universe to Support Reverse Chemical Genomics Study"(Humana Press)
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