• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

Netrin-G/NGL相互作用による情報の統合機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20300116
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

糸原 重美  独立行政法人理化学研究所, 行動遺伝学技術開発チーム, チームリーダー (60252524)

キーワードnetrin-G1 / netrin-G2 / NGL1 / NGL2 / 変異マウス / シナプス伝達 / 可塑性 / 認知機能
研究概要

ヒトが獲得した高度な精神活動は、脊椎動物に固有な遺伝子の出現と、それに伴って発達した神経回路の獲得に依存したと考えられる。私たちは脊椎動物固有の膜分子netrin-G1、netrin-G2とそれらの受容体NGL-1、NGL-2を分離同定した。類縁分子netrin-G1とnetrin-G2は相互排他的な脳領域で発現し、netrin-G1/NGL1およびnetrin-G2/NGL2の特異的リガンド/受容体ペアが皮質層構造形成の一端を担い、経細胞性機構により単一細胞の樹状突起内に独立神経回路の区分けを形成する。免疫組織学的にNetrin-GおよびNGLがシナプスに局在する事を明らかとした。Netrin-G1-knockout(KO)マウスおよびNetrin-G2-KOマウスの海馬スライスを電気生理学的に解析し、netrin-G1/NGL1およびnetrin-G2/NGL2の相互作用は、それぞれ独立した神経回路の伝達特性および可塑性を制御することを明らかとした。この事と一致し、netrin-G1-KOマウスおよびnetrin-G2-KOマウスは、いずれも顕著な認知機能異常を示し、その異常は重複しないことを明らかとした。これらの結果は、netrin-G1/NGL1およびnetrin-G2/NGL2の分子進化が脊椎動物の認知機能獲得に重要な役割を果たしたことを示している。これらはNetrin-G1とNetrin-G2遺伝子の相互排他的発現特性に立脚している。この発現特性を獲得した機構を考察するため、多様なトランスジェニックマウスを作成して転写調節機構を解析した。その結果は、脊椎動物が進化する過程で全ゲノム重複が生じ、次いで転写調節領域に変異が蓄積したことによって、Netrin-G1とNetrin-G2遺伝子が出現し、さらに相互排他的発現特性を獲得したことが示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Involvement of cycline-dependent kinase-like 2 in cognitive function required for contextual and spatial learning in mice2010

    • 著者名/発表者名
      Gomi H, Sassa T, Thompson RF, Itohara S
    • 雑誌名

      Front.Behav.Neurosci.

      巻: 4

    • 査読あり
  • [学会発表] Ntng1とNtng2遺伝子のシス調節エレメントの進化的変化は脊椎動物における高次脳機能と神経回路の精緻化に重要である2010

    • 著者名/発表者名
      矢口邦雄、西村幸子、糸原重美
    • 学会等名
      BMB2010(第33回日本分子生物学会年会 第83回日本生化学大会 合同大会)
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2010-12-07
  • [学会発表] Ntng1とNtng2のシス調節エレメントの進化的変化は、脊椎動物における高次脳機能と神経回路の精緻化に重要な役割を持つ2010

    • 著者名/発表者名
      矢口邦雄、西村幸子、糸原重美
    • 学会等名
      Neuro2010(第33回日本神経科学大会 第53回日本神経化学会大会 第20回日本神経回路学会大会 合同大会)
    • 発表場所
      神戸コンベンションセンター
    • 年月日
      2010-09-02

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi