研究概要 |
(1)リーフー,ヨタリ大脳皮質の組織学的な解析 リーラーマウス、ヨタリマウスのヘテロ親を交配して15-20日に胎仔を得た。また同様に交配後、生後各時期の個体を得た。クリオスタットによる完全連続凍結切片、およびパラフィン連続切片を作製し,発生時期のプレプレート、サブプレート、スーパープレートの組織構築を、ヘマトキシリン・エオジン一般染色、MAP2抗体、ニューロフィラメント、TAG1、ニューロカン、リーリン抗体を用いた免疫組織化学を行った。その結果,リーラーとヨタリの大脳皮質の層構築が乱れ,本来,皮質板直下にあるサブプレートが辺縁層直下に異所性に存在し,スーパープレートを形成していることを追認した。 (2)層特異的分子マーカーを利用した大脳新皮質層構築の解析 大脳新皮質の各層に特異的に発現する分子マーカーgolli-Z(第6b層)、Tbrl(第6届)、Otxl(第5、6層)、Er81(第5層)、ROR-β(第4層)、Brn2(第2-4、5層)、Reelin(第1層、カハール・レチウス細胞)の抗体を用いて胎性後期一生後各時期における大脳皮質異常ミュータント動物の層形成を調べた。その結果,皮質層構造が従来言われていたような逆転ではなく,入り交じった構造を呈してることが明らかとなった。 (3)層特異的投射を利用した大脳新皮質層構築の解析 リーラー,ヨタリ胎仔のホルムアルデヒド固定脳の大脳脚、視床、反対側大脳皮質にカルボシアニン蛍光色素Dilあるいは4Dil-10ASPを注入し、数週間、緩衝液内に脳を保存した。蛍光色素が軸索膜脂質層を物理的に側方拡散することを利用して運動野の第6層を占める視床皮質投射ニューロン、5層を占める皮質脊髄路ニューロン、主に2/3層を占める脳梁交連系ニューロンがリーラーやヨタリでは異所性に分布していることを証明した。
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