研究概要 |
本年度は以下の4点について解析及び標本作製を進めた。 1)前嗅核の形態学的解析のため脳全体の前頭断、矢状断、水平断の方向で50ミクロン厚の連続切片を作成しカルシウム結合蛋白、parvalbumin, calbindin, calretininに対する抗体で免疫組織化学染色標本を作製した。これらを用いて細胞構成の解析を開始した。 2)我々が発見したdopaminergic-GABAergic periglomerular cellsの多様性、特に糸球体問の結合に関係している大型のdopaminergicニューロンとそれ以外の小型dopaminergicニューロンについてさらに解析を進めた。特に発生時期との関係について細胞分裂期にDNAに取り込まれるtymidine analog BrdUを用いた解析を進め、両者が発生の時期を異にすることを示唆する所見を得た。興味深いことに現在注目されている成体期での神経新生はおそらく小型のニューロンのみであろうと思われる所見が得られた。 3)以前我々はこれまで介在ニューロンとされてきたニューロン群のあるものは投射ニューロンの可能性があることを発見した。この所見をさらに明らかにするために、これまでの所見で投射ニューロンを含んでいる可能性が高いと考えられるカルシウム結合蛋白calbindin陽性ニューロンについて形態学的詳細の解析を進めた。4)逆行性トレーサーFluorogold,及び順行性トレーサーPHA-Lを用いて嗅球内及び嗅球と他の脳部位との結合関係を共焦点レーザー顕微鏡で検討した。
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