研究概要 |
1. N-cadherinの研究 N-cadherinのPS1によるRip制御の意義を検討した。PS1とN-cadherinの相互作用をFluorescence resonance energy transfer(FRET)を応用したFluorescence lifetime imaging (FLIM)という手法で測定し、細胞レベルで、シナプス接着がPS1の局在や形態に与える影響を解明した。さらに、このin vivoにおける生理的な機能を調べるため、PS1に切断されない変異N-cadherinのノックインマウスを作成し、現在ホモ化している最中である。このマウスを用いて、PS1のN-cadherinを介したシナプス制御機構について生理的な意義を検討する。 2. 他のRip制御を受けるシナプス蛋白の解析 上記のように、現時点で、シナプス蛋白でPS1によりRip制御を受けるものは、NCAM(L1),γ-protocadherin, nectin, LAR, syndecan, ephrinB2といったシナプス接着因子が報告されている。また、発生過程のシナプス形成に重要な役割を果たすtelencephalinもPS1と結合することが知られている。こうした中でアルツハイマー病において重要と考えられるインスリンのシグナルとの関係に着目し、PS1の基質として新たに同定されたInsurlin receptorの切断に焦点を当てて解析を行った。まず、constructを作成し、マウス初代培養細胞に発現させ、Ripを誘発する刺激を同定、さらにRipによるproteolysis後に活性化するシグナル伝達を同定し、Ripがこれらの蛋白を介してシナプス機能に果たす役割を検討した。
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