研究課題
本開発は代表申請者がこれまでに開発した脳標的化ペプチドを用い、血液脳関門を壊すことなく脳にPETリガンドを導入する革新的なシステムを構築し、薬剤が脳に移行しにくいことからこれまで限定的にしか実施できなかったアミノ酸性神経伝達物質の機能イメージングを行って新たな脳疾患の診断システムを実現化するモデルを作成してその有効性を調べることを目的とする。実施1年目には[11C]MQNBと[11C]NMPBをラットに投与し、本目的である[11C]MQNB-ペプチド縮合体の脳移行の評価のためのスケールとして利用するための条件検討を行い、良好な結果を得た。そこで研究2年目である本年度は、[11C]MQNB-ペプチド縮合体を合成し、投与条件を最適化してイメージングを行うこととした。4-Bromobenzylal alcoholから合成したGrignard試薬をEthylBenzoylformateと反応させ、次いでSodium Alkoxide Quinuclidinolとエステル縮合させ、QNB誘導体を合成した。酢酸酸性下、酸化クロムにより一級水酸基をカルボン酸に変換した後、Succinimydyl化、ペプチドとカップリング反応をおこない、QNBペプチド縮合体を得た。次に、QNBペプチド縮合体をアセトニトリルで溶解し[11C]メチルトリフレートを添加、室温で反応後、生成物をシリカゲルカラムにトラップし、酢酸水溶液で溶出した。一方、得られた3種類の標識体について動物PETによる脳内分布を比較する予定であったが、平成21年11月にPET装置のスキャナー部が故障し修理するも使用ができない状態となり、新機種を平成22年3月に導入するまで実験ができなくなった。これにより約4ヶ月の遅延が生じた。この遅延は次年度新規導入のマイクロPETの使用により問題なく改善できる見通しであるため、繰り越し申請を行った。
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