研究課題
本開発は代表申請者がこれまでに開発した脳標的化ペプチドを用い、血液脳関門を壊すことなく脳にPETリガンドを導入する革新的なシステムを構築し、薬剤が脳に移行しにくいことからこれまで限定的にしか実施できなかったアミノ酸性神経伝達物質の機能イメージングを行って新たな脳疾患の診断システムを実現化するモデルを作成してその有効性を調べることを目的とする。実施1年目には[11C]MQNBと[11C]NMPBをラットに投与し、本目的である[11C]MQNB-ペプチド縮合体の脳移行の評価のためのスケールとして利用するための条件検討を行い、良好な結果を得た。2年目には[11C]MQNB-ペプチド縮合体の合成法を確立したが、PET装置のスキャナー部が故障し新機種導入まで実験ができなくなった。幸い、平成22年3月に新装置が導入され9月から稼働が開始したため、最終年度である本年度は[11C]MQNB-ペプチド縮合体をラットに投与してイメージングを行い、脳移行性の無い[11C]MQNBと脳移行性を示す[11C]NMPBとで比較した。その結果、ほとんど脳移行性を示さないMQNBに脳移行性ペプチドを付加すると明らかな脳移行性を付与できる事がわかった。定量的解析ではNMPBを100%、MQNBを0%とするとMQNB-ペプチド縮合体は約10%強の値を示す事がわかった。これにより、本ペプチドを付加する事で脳移行性の無い化合物を脳移行性に改変できる事が明らかになり、本研究の目的を達成することができた。今後、合成法の簡便化、精製法の画一化について検討することによって、脳機能判定に不可欠ではあるものの脳移行性が無いためにPETイメージングができないアミノ酸性神経伝達物質やペプチド性神経伝達物質の機能イメージングプローブ開発に応用できる。
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