• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

社会的隔離が脳内回路形成に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 20300131
研究機関横浜市立大学

研究代表者

高橋 琢哉  横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (20423824)

キーワードシナプス / 可塑性 / AMPA受容体 / バレル皮質 / 経験依存的 / 社会的隔離 / ストレスホルモン / アンタゴニスト
研究概要

本研究は社会的隔離が経験依存的AMPA受容体シナプス移行に及ぼす影響を調べるというものであり、本研究費を用いて以下の事が明らかになった。
経験依存的AMPA受容体シナプス移行が社会的隔離によって阻害され、その結果ひげ-バレルのマップが乱れ、ひげ依存的行動に異常を来たすことはすでに前年度につきとめていた。ひげを用いた接触はラットの社会的活動の基本である。また興味深いことにラットにも社会的な階層が存在するが、社会的に優位にあるラットは階層が下のラットのひげを取り除く(Whisker trimming)という行為をする。さらに社会的行動の一つである攻撃的行動のためにはひげの存在が重要であるということも知られている。このようにラットのひげ-バレル皮質系は社会的活動において非常に重要な役割を果たしている。当該年度では社会的隔離によるマップの乱れとひげ依存的行動の乱れがAMPA受容体シナプス移行阻害によるものであるということを調べるために、内在性GluR1のシナプス移行を阻害するGluR1のC末端(GluR1ct)をバレル皮質に過剰発現させた。GluR1ctはGluR1のシナプス移行に必要な様々なたんぱく質に結合し、この部分の強制発現は内在性GluR1のシナプスへの移行を阻害する。したがって、ひげがある動物のバレル皮質においてはGluR1ct発現細胞は非発現細胞に比べて小さいシナプス応答を示すことがわかっている。その結果、GluR1ctを発現させることにより、通常は1対1対応をしているひげ-バレルのマップが乱れ、さらに、ひげ依存的行動にも異常が観察された。このことから、社会的隔離によるマップの乱れ、ひげ依存的行動異常がAMPA受容体シナプス移行阻害に起因していることが明らかになった。

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi