研究課題
本研究は社会的隔離が経験依存的AMPA受容体シナプス移行に及ぼす影響を調べるというものであり、本研究費を用いて以下の事が明らかになった。本年度は社会的隔離の行動への影響をまず網羅的に調べた。社会的隔離にobject recognition taskを課した。Object recognition testはまずラットにある形Aの物体に遭遇させ、次に別のcageにて物体Aと、このAとは別の物体Bの二つを置く。通常ラットは新しい物体Bを長い時間探索する。この行動には社会的隔離による効果は見られなかった。次に海馬依存的学習であるwater maze testを行った。これは社会的隔離により成績が低下した。また、恐怖条件付けを行った。恐怖条件付けはある音を聞かせた後に電気ショックをラットに与える。その結果その音を聞かせただけでラットがfreezingを起こすというものである。さらに恐怖条件付けが成立した後に音のみを聞かせて電気ショックを与えないということを繰り返すとしだいにfreezingしなくなっていく。これをextinctionという。恐怖条件付けの獲得には社会的隔離による影響は見られなかったが、extinctionの成績は社会的隔離により悪化した。すなわち、通常見られるextinctionが見られなかった。このことは社会的隔離動物においては恐怖記憶の形成がより強烈でその消去が通常通り起こらないか、あるいはextinctionが新しい学習(つまり音が聞こえても電気ショックがこないということを学習する)だとすると、社会的隔離動物においては学習障害が起きているという可能性も考えられる。
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http://neurosei.med.yokohama-cu.ac.jp/publications.html