研究課題
1)発達障害におけるTAO2遺伝子変異の解析発達障害患者においてTAO2遺伝子のコピー数異常(New Eng1.J.Med.2008)や点突然変異(私信)があることが分かってきている。そこで、その病態学的意義を明らかにするため、初代培養ニューロンに変異TAO2遺伝子を導入し、ニューロンの形態学的変化の有無を調べた。TAO2の触媒領域および調節領域に変異がそれぞれ見つかっているため、最も影響があると予想される変異をTAO2 cDNAに導入し、海馬ニューロンに発現させた。その結果、変異TAO2を発現したニューロンはほとんどシナプスを作らず、スパインも形成しなかった。さらに、変異TAO2をHEK293細胞に発現させ、arcadlin同種結合によるarcadlin-N-cadherin複合体のエンドサイトーシスを調べたが、全く内在化が見られなかった。以上の結果から、TAO2を介するN-cadherin内在化がシナプス形成に必須であると考えられた。今後はTAO2変異時のarcadlin-N-cadherin複合体の内在化をビオチン標識法によって検討する。2)COX-2によるスパイン制御:COX-2(シクロオキシゲナーゼ2)とは、プロスタグランジン合成系の律速段階酵素であり、痙攣発作や一過性脳虚血などによつて誘導され、神経細胞死を促進することを報告してきた。さらに、COX-2がより微細なスパインも制御するという知見を得ている。そこで、培養海馬ニューロンにCOX-2阻害薬NS398を前処置し、2時間後にカイニン酸を添加した。カイニン酸によってスパイン密度は著しく減少したが、NS398はこのスパイン減少を抑制することが分かった。今後は、COX-2によるスパイン制御にarcadlin-N-cadherin系が関与するかどうかを明らかにする。
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