研究概要 |
Hcn4チャネル遺伝子は、心臓洞房結節に特異的に発現する分子マーカーとして近年非常に注目を集めている。しかしながらHcn4の部位特異的な発現パターンを制御する分子機構はほとんど不明である。我々はHcn4遺伝子座の非翻訳領域の中に散在する、種を超えて配列が保存されている部位の転写活性を網羅的に検討した。その結果、第一イントロンの中にHCN4最小プロモーターに対して極めて強い活性化作用をもつエンハンサー(CNS#13)が存在することを発見した。 このエンハンサーの効果はHCN4最小プロモーターに対してのみ特異的である。そこで本年度はHcn4最小プロモーターに結合する転写因子を同定するために、最小プロモーターの中でも特に種を超えて配列が保存されている領域をbaitとしてyeast-one hybrid法によるスクリーニングを実施した。その結果、10^5の陽性コロニーを得ることができ、そのうち約200個の遺伝子配列を確認した。この中には転写因子としてはOct1,FoxP4などが含まれていた。次にこれらの遺伝子の全長cDNAをクローニングし、HEK293細胞を使ってluciferase reporter assayを実施した。しかしながら、これまでのところ、Hcn4最小プロモーターを活性化する転写因子を同定するには至っていない。今後も更にスクリーニングを続行する外、CNS#13をbaitとして、さらにスクリーニングを実施していく予定である。
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