研究概要 |
アミロイドーシスとは生理的機能を発揮していた蛋白質が、微細なアミロイド線維に凝集し、生体に傷害を与える疾患群(蛋白質構造異常病)であるが、適切なモデル動物の開発が緊急の課題である。樋口らが独自に開発してきたマウスAApoAIIアミロイドーシスのシステムと新規に開発するアミロイドーシスのモデル動物を駆使して、アミロイドーシスに共通する発症機構と各種アミロイドーシスに特異的な病態の解明を体系的におこなう。平成20年度は 1) これまでに発見した4つのApoa2 allele (Apoa2^<a, b, c, f>)ではアミロイドーシスの重症度が異なる(Apoa2^c>Apoa2^a>Apoa2^b>Apoa2^f〓0)。合成ペプチドを用いた新たな試験管内線維形勢解析システムを開発し、アミノ酸1次構造が線維形成に果たす役割を解析した。またそれぞれのalleleをC57BLマウスに導入したコンジェニックマウスを作製し、生体での解析を進めている。 2) Apoa2ノックアウトマウス(Apoa2^<-/->)を導入して、AApoAIIやAAアミロイドーシス発症に及ぼす効果を解析した。さらに他のアミロイド蛋白質(TTRやAB2M)トランスジェニック(Tg)マウスと交雑し、AApoAIIの影響を受けない、より効率的なモデルマウス作成を進めた。 3) 熱ショック蛋白質転写因子(Hsfl)のノックアウト(Hsfl^<-/->)やTgマウスを用いて、アミロイド線維の沈着が熱ショック蛋白質を誘導すること、Hsfl^<-/->とHsflTgマウスの心臓ではアミロイド沈着が増大するか(Hsfl^<-/->),減少する(HsflTg)ことが明らかになった。 4) 伝播現象がおこると考えられているAAアミロイドーシスの高齢屠殺牛での発症頻度(〜5%)を明らかにし、モデルマウスを用いてアミロイド線維による伝播の可能性を示唆した(Amyloid 2009)。
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