研究課題/領域番号 |
20300145
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
松本 耕三 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (00002246)
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研究分担者 |
小瀬 博之 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (90314856)
落合 和彦 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (30550488)
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キーワード | OLETFラット / 2型糖尿病 / 多因子性疾患 / コンジェニ / キイロショウジョウバエ / igf2bp2/imp |
研究概要 |
本研究課題の目的は新規2型糖尿病モデル系統を作成することであり、その主眼とするところは世界規模で蔓延する肥満が糖尿病を引き起こすメカニズムを分子レベルで明らかにすることにある。 主に二つの重要な進展があった。一つは新規コンジェニックラットの作成である。バイオリソース「ラット」より以下の系統を受精卵から個体を作成した。F344.OLETF-(DllMgh4-DllMgh1)Tj、F344.OLETF-(DlRat166-DlRat90)/Tj、F344-Z-leprfa/Tj、これら3系統はマイクロサテライトマーカーを用いて、遺伝子型を確認した。前者の2系統については通常食と高脂肪食給餌下における特性比較を行った。また、同実験群における体脂肪の蓄積状況についてはCTスキャンを用いて行った。本方法により皮下脂肪・内臓脂肪の割合の算出を非侵襲的かつ経時的に行うことが可能となり、肥満と糖尿病研究にバイオイメージングの手法を取り入れることに成功した。さらに糖尿病原因遺伝子座を持っているコンジェニック系統へレプチンシグナルを欠損した変異を導入した系統を作成した。 もう一つの成果は、本研究課題で着目している糖尿病原因候補遺伝子のショウジョウバエ変異体の解析を行ったことである。候補遺伝子の一つであるigf2bp2遺伝子のホモログであるimp遺伝子について機能解析を行った。まず、imp遺伝子の発現解析を行ったところ、一部の中枢神経細胞での発現が確認された。次に神経細胞特異的にimp遺伝子の機能を低下させた系統を作成し、基礎糖代謝を検討した。その結果、空腹時においては体液中糖濃度の上昇が確認された。 哺乳動物の遺伝子マッピングの過程において迅速な候補遺伝子の検証は重要である。ショウジョウバエを「2次モデル動物」として用いることは、検証のみならず分子機構の解明に寄与する可能性が期待される。
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