研究課題/領域番号 |
20300158
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 健志 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (30249560)
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研究分担者 |
田中 正夫 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (40163571)
内藤 尚 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (40392203)
中村 匡徳 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特任准教授 (20448046)
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キーワード | 骨折治癒 / 血管新生 / 交感神経 / 放射光CT |
研究概要 |
最終年度は、骨欠損を作製したラットを対象とした放射光μCT実験、およびマウスin vivo実験を進めるためのCTシステムの改良を行った。 放射光μCT実験 新しく開発したジルコニア血管鋳型剤を利用した単色放射光サブトラクションμCTによって、骨折後安静時を想定した血管新生と骨再生に対する低酸素性因子誘因の効果を評価した。脛骨皮質骨にドリルホール欠損を作製したラット(12週齢♀)を尾部懸垂し、対照群(n=10)と低酸素因子の発現を維持するDeferoxamine Mesylate Salt (DFO)群(n=10)に分け、術後、5日目あるいは10日目に麻酔下で腹部大動脈より血管鋳型剤を投与し、冷水に晒してこれをゲル化、脛骨術部を摘出・エタノール固定した。試料は放射光施設SPring-8にて、ジルコニアk吸収端の直上(18.1keV)および直下(17.9keV)でスキャン(分解能2.74μm)した。各々の再構成イメージについて相互情報量の最大化によるレジストレーションを行った後、画像差分して血管と再生骨を分離した。なお、この画像分離法についてはより精確さが向上するようにアルゴリズムの改良を行った。 両群とも欠損作製後5日目には血管新生が誘導されたが、対照群では欠損部の骨再生はほとんど認められなかった。しかし、DFO群ではより活発な血管新生が観察され、骨の再生も通常飼育群を対象とした同様の実験結果(前年度)に匹敵するものであった。さらに10日後には両群の骨再生は大きく異なり、DFO群では再生骨が著しく形成され、骨量、ミネラル密度ともに対称群に比べ高値を示し、DFOによる血管新生促進の骨再生における効果が確認された。 in vivo CTシステムの改良 前年度に確立したin vivoCTシステムの低被曝化を行い、市販システムと同程度の性能でマウス骨構造が計測可能なシステムに改良できた(分解能15 μm、被曝量<700 mGy)。
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