研究課題
基盤研究(B)
研究代表者である清水壽一郎は、心臓生理学、特に心筋の興奮収縮連関に関わる分野で研究を推進してきた。即ち臓器としての心臓の挙動を詳細に観察し、力学的エネルギー学的な解析あるいは理論的な解析を加え、心筋細胞内カルシウム動態の推測、心筋クロスブリッジ動態の推測を行ってきた。その結果、心筋細胞内カルシウム動態は心臓の容積に影響を受けず、心筋線維のカルシウム結合能も大きな変化を受けないこと、従って心臓の容積依存性の収縮力増加(Frank-Starlingの法則)はアクチン線維とミオシン線維との相互作用に大きく依存する可能性を示してきた。心筋のアクチン線維とミオシン線維との相互作用、即ちクロスブリッジ動態、を観察する手法はいくつか提案されているが、X線回折実験が最も生理的な条件下での観察方法であるものの、X線源の性能上の問題から乳頭筋標本を用いて相当数の収縮の加算平均によりようやく観察可能であった。しかし、世界最大の第三世代大型放射光施設であるSPring-8の供用に伴い十分な数の光子と波長・位相が良く揃ったX線源が確立され、ラットの心臓(厚さ10mm)を透過してのX線回折実験により単収縮のクロスブリッジ動態解析を行う条件が整った。そこで本プロジェクトの最終目標をラット心臓におけるクロスブリッジ動態解析法の確立として研究を進め、さらに左心室壁外層と内層の筋線維構築の違い、新生児心筋組織の構造解析、そのほか病態時の心筋クロスブリッジ動態の解析を主眼として行った研究成果について報告する。
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