研究課題/領域番号 |
20300164
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
杉町 勝 独立行政法人国立循環器病研究センター, 循環動態機能部, 部長 (40250261)
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研究分担者 |
宍戸 稔聡 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室長 (60300977)
清水 秀二 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 派遣研究員 (80443498)
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キーワード | 自動治療 / オンラインシステム同定 / マクロ血行動態モデル |
研究概要 |
本年度は初年度に続いて生体の薬剤応答性のオンライン同定について検討した。初年度の検討で外乱を加える方法でのシステム同定はある程度の精度で可能であることが明らかになったので、本年度は外乱を加えず自動治療システムが治療目標に達する過渡的な過程での薬剤投与量変化と循環器特性変化の時系列からのシステム同定を試みた。左冠動脈内に微粒子を注入して心不全を作成したのち状態が安定したイヌに対し、ドブタミンを静脈内に投与して左心ポンプ機能指標S_Lを正常目標値に漸近させる自動治療を行った。同時にニトロプルシドで血管抵抗、デキストランで循環血液量をそれぞれの目標値に漸近させた。S_L制御は標準的なステップ応答からCHR則によって定めたPI制御のゲインを用いて行った。ドブタミン投与量を入力、S_Lを出力としたシステム同定をARX法(次数1次固定、無駄時間可変、時間刻み:サンプリング時間×30)、モデルのインパルス応答を直接に入力と畳み込み積分して出力を最も予測できるモデルを同定する方法のいずれでも、標準のステップ応答に近いものは得られなかった。その原因を明らかにするために、シミュレーションにより外乱ありと外乱なしの方法を比較した。外乱なしの方法はわずかのノイズを加えることにより誤った応答を算出した。外乱ありの方法でも大きなノイズに対してはロバストではなかった。初年度および2年度における研究により、実時間生体システム同定のために外乱なしの方法はシステム同定の精度などの点から実現が困難であることが明らかになったために、外乱を加えない方法については適応制御システム構築を行わないことにした。次年度は間欠的に外乱を加える方法にて適応制御システムを構築し、その頑健性を動物実験にて検討する。
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