研究概要 |
前年度に引き続いて,平成21年度は二波長パルスX線発生用回転金属ターゲットに照射するエネルギーが3MeV,ビーム電流が最大10μAまでの直流陽子ビームを発生するための加速器の運転条件の最適化を行った.ビームライン上,ターゲット真空容器の上流に設置した3連四重極電磁石を用いてビームを集束させ,ターゲット手前でビーム径を1mm程度まで集束することができた.しかし,ビーム電流は目標の10μAに到達しなかった.X線撮影に必要な点状X線源を実現させるために,入口径1mm程度のガラスキャピラリーにこのビームを通し,キャピラリー出口で100μm程度のビーム径を得た.ビーム透過率と出射時のエネルギースペクトルの測定結果は,モンテカルロ法を用いた数値計算の結果と良く一致した.予定していたビーム電流が達成できなかったため,当面は造影剤としてより原子番号の低い鉄Fe(原子番号26)を仮定し,このK吸収端(7.110keV)前後の波長(エネルギー)を有する特性線を発生する鉄(KαX線エネルギー6.398keV)及びニッケル(Ni;原子番号28;KαX線エネルギー7.471keV)板をX線源として採用した.円周上の対向する2点にこれらの金属板を固定できる回転式ターゲットホルダーを製作した.このターゲットを真空容器内で回転させるために高真空用ステッピングモーターを用いた遠隔操作機構を製作し,真空試験,動作試験を行って所定の性能を確認した.
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