| 研究概要 |
本年度は,分子標的型の新規超音波造影剤としてのAG73修飾バブルリポソームの新生血管への標的指向性を評価するために,DiI蛍光色素で修飾したAG73修飾リポソームを作製し,Dorsal air sac法により,ICRマウス背部に人工的に新生血管を誘発した簡易モデルを作製し,AG73修飾リポソームを尾静脈投与し,新生血管への集積能について調べた.その結果,ペプチド未修飾リポソーム(PEG-リポソーム),コントロールペプチド修飾リポソーム(AG73T修飾リポソーム)においては,集積能は認められなかったのに対し,AG73修飾リポソームにおいて新生血管への顕著な集積が認められた.このことから,AG73修飾リポソームの新生血管への標的指向能が明らかとなった.次にDiI蛍光色素で修飾したAG73修飾リポソームに造影ガスを封入したAG73修飾バブルリポソームを調製し,DASモデルマウスに尾静脈投与したところ,背部皮下における集積が,蛍光顕微鏡で観察された.また,バブルリポソームとルシフェラーゼ発現プラスミド(pCMV-Luc)を尾静脈内投与した後に下肢部筋組織に対して,超音波照射(1MHz,2W/cm^2)したところ,超音波照射部位における遺伝子発現が観察された.
以上のことから,AG73修飾バブルリポソームを利用することで血管新生関連遺伝子を下肢部筋組織へと送達する新生血管選択的な超音波造影ガス封入リポソームによる低侵襲性血管障害治療システムが確立できる可能性が示唆された.
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