研究概要 |
本研究では,本研究では異なる周波数帯域を有する複数の超音波を用いて生体内部の映像化を行う2種類の方式を開発した.周波数帯域の異なる2つの超音波を異なる方向から生体内部へ向けて送波し,2つの超音波ビームが交差する領域に存在する微小気泡(造影剤)の非線形振動を利用して,低速血流の分布を映像化しようとする「二周波クロスビーム方式」と,広帯域に渡って複数のピーク周波数を有する多周波超音波パルスを送波することによって,生体内部の画質改善を目的とする「多周波エコー方式」である.前者については,市販の超音波診断装置(東芝SSA.-700A)を用いた実験システムによって,流路中に造影剤(ソナゾイド)を水とともに流した場合の定常流と疑似拍動流の流速を本方式で測定した.低速での測定精度を単一周波数方式と比較して,本方式の優位性を確認した.後者については,2MHzと6MHzの1-3コンポジット材を接着した多共振型圧電振動子を試作して,市販の超音波診断装置(アロカSSD1000)のメカニカルセクタ型プローブに内蔵した.プローブから送波される超音波パルスをハイドロフォンで受信して,そのスペクトルから1.7,3.0,4.8,6.8MHzをピークとする多共振特性を有することを確認した.上腹部術中モデル超音波診断ファントム(京都科学US-3)の映像化を行い,多周波イメージングによるスペックル軽減効果を確認した.超音波出力の安全性(MI値1.9以下)を確認した後,肝臓および甲状腺の映像化を行って医学的見地からの検討を行った.
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