研究課題
長期的運動療法が、運動耐容能の向上のみならず、腎保護効果やインスリン抵抗性改善効果を有する可能性が示唆されているが、そのメカニズムや至適条件についてはまだ十分に明らかになっていない。平成21年度は、慢性腎不全モデルにおける長期的運動と分子鎖アミノ酸(BCAA)補充療法の、また、これらとアンジオテンシンII受容体拮抗薬との併用療法の効果を検討した。WKYラットを手術し、5/6腎摘慢性腎不全モデルを作成した。ラットを以下の7群に分け、12週間治療した。1)非治療(C)群、2)BCAA(0,375g/日,B)群、3)valsartan(10mg/kg/日,V)群、4)運動(走行速度20m/分×60分/日×5日/週、E)群、5)V+E群、6)V+E+B群、7)偽手術(S)群。2週毎に、収縮期血圧(SBP)、体重、尿蛋白(UP)を測定し、最終日に血清クレアチニン(Scr)、血液尿素窒素(BUN)を測定した。残存腎の糸球体硬化指数(IGS)と間質容積比(RIV)、ヒラメ筋の毛細血管新生(CD)と筋線維組成を解析した。C群に比較して、V群のSBP、UP、BUNとIGS、E群のSBP、IGS、RIVとCD、V+E群のSBP、UP、IGS、RIVとCDは有意に改善した。加えて、V+E+B群では、Scr、ヒラメ筋タイプI筋線維比が有意に改善した。以上の結果から、慢性腎不全モデルラットにおいて、長期的運動、valsartan、BCAAの併用は、血圧コントロール、腎保護、毛細血管新生、骨格筋組成改善効果を有けることが示唆された。
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