研究課題
これまでの研究で、周期的伸張刺激により筋萎縮の進行を軽減させるためには、Akt/mTOR/p70S6K経路の活性必須であることを明らかにした。また、この経路や筋線維横断面積を指標に、筋萎縮の進行を軽減させるのに必要な刺激の強さや刺激時間を明らかにした。さらに、伸張刺激を加える頻度、すなわち同じ時間の伸張刺激を、1日1回で加えるか、2回に分けて加えるかについて検討し、1日1回でくわえるよりも2回に分けて加える方が萎縮軽減効果が高いことを明らかにした。そこで今年度は、昨年度十分に明らかになっていなかった1回に加える刺激の時間と萎縮軽減効果の関係を詳細に検証した。その結果、1日1回の刺激を与えるとすると7.5分以下では効果がなく、15分以上は必要であること、しかし1時間では効果がなくなることが明らかになった。また、今年度は、包括的な理学療法として、周期的伸張刺激による筋萎縮軽減効果に対する熱刺激または栄養摂取の相乗効果を検証に力を注いだ。昨年度の結果から、熱刺激に関してはタイミングや時間の検討が必要であることが判明していたため、これにかかわる条件検討を詳細におこなった。その結果あらゆる条件において検証したにもかかわらず、周期的伸張刺激による筋萎縮軽減効果をさらに有意に高めるような熱刺激の条件は見つからなかった。一方、周期的伸張刺激の直前の栄養摂取による萎縮軽減効果向上に関しては、その効果的な方法について絞られてきた。その結果、周期的伸長刺激による筋萎縮抑制効果に対する栄養摂取は、若干の加算的効果が認められるが、相乗効果が認められるほどではないことが判明した。他者の研究で、熱刺激や栄養摂取による筋肥大効果の報告はある。しかしながら、少なくとも我々の実験系で、周期的伸長刺激による筋萎縮軽減効果を相乗的に高めることを、熱刺激や栄養摂取に期待することはできないと考える。
すべて 2011
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日本物理療法学会会誌
巻: 38 ページ: 15-20
The Journal of Cell Science
巻: 124(22) ページ: 3859-3870