研究課題
刺激電極の高密度化、電極数の増加に伴って、刺激パルス幅は制限される。刺激効率を維持するためには、刺激電流量を増加させる必要があるが、電極の電荷注入能を上回る通電量は与えられない。そこで、隣接する電極を組にした刺激パターンを使って網膜興奮の時間的加重を惹起し、一極あたりの刺激電流量を抑えることが可能か否かを検討した。麻酔非動化したラットの強膜上に2つの電極を極間距離0.7-1.0 mmで設置し、一方の刺激電極を用いて閾値上の強さの電気刺激を与え、その時に対側皮質視覚野に誘発された反応を膜電位感受性色素(VSD)イメージングで記録した。もう一方の刺激電極から閾値下の電気刺激を先行して与えたところ、単独で与えた時よりも僅かに強い応答が得られることがあった。本研究の結果、STS型人工網膜における刺激時に、隣接電極から閾値以下の刺激を組にして刺激すると、より強い興奮が視覚皮質で観察された。この興奮の促通現象が生じた理由は、隣接電極の閾下刺激による興奮と目的の電極の刺激による興奮とが時間的空間的加重を起こすことによるものであると考えられる。この加重効果には、応答領域を広げるよりも応答中心部の興奮だけを増強し、その応答の立ち上がり速度を上昇させる傾向があったことは大いに注目すべき点である。なぜなら、この傾向は、空間解像度を低下させずに、強い興奮を起こすことが出来るということであり、一極あたりの刺激電流量を抑えることが可能であることを示唆しているからである。刺激強度を下げることが出来れば、応答部位が限局することによって高解像度の疑似視覚を提供することが出来ると期待される。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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