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2008 年度 実績報告書

視覚情報呈示により誘起される神経科学的作用に因る運動機能回復システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20300191
研究機関札幌医科大学

研究代表者

金子 文成  札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (00344200)

キーワード視覚 / 神経科学 / 運動 / 理学療法 / 機能回復
研究概要

平成20年度は,我々が考案した上肢の単関節運動の動画呈示による自己運動錯覚の誘起方法(自己運動錯覚誘起課題)が,下肢においても適用可能であるかどうか明らかにすることを目的として研究を行った。自己運動錯覚の評価にはVisual Analog Scaleを用い,さらに,その際の皮質脊髄路興奮性の変化を,経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位の変化により検討した。その結果,自己運動錯覚誘起課題を用いることで,標的とした身体部位において自己運動錯覚が誘起されると同時に,皮質脊髄路興奮性は増大する傾向が認められた。このことは,下肢においても,我々が考案した方法によって,自己運動錯覚を誘起できる可能性を示唆している。その一方で,その効果は上肢を対象とした場合の方が強かったことから,自己運動錯覚の程度には身体部位依存性があるものと考えた。
また,我々はこれまでに,動画によって呈示される身体の空間位置と実際の身体位置との間に不一致が生じる場合,皮質脊髄路興奮性の変化は認められないことを明らかにしている。今年度はそれに加えて,そのような状況下であっても,動画呈示された身体部位のみを注視するように視野を制限した場合に,皮質脊髄路の興奮性が高まることを明らかにした。これらの結果は,動画呈示による自己運動錯覚の誘起には,動画内の身体位置と実際の身体位置との不一致を視覚的に認識できるかどうかが重要であることを示唆している。このことは,視覚刺激による自己運動錯覚の誘起を臨床症例におけるリハビリテーションに応用するために,重要な知見である。本研究での結果は,関節固定などの身体不活動や脳血管障害による運動機能低下を予防,回復させるための治療的介入において本法を使用する際に留意すべき点に関する基礎資料となる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 運動以外の治療的介入による脳の可塑性と今後の可能性2008

    • 著者名/発表者名
      金子文成
    • 雑誌名

      理学療法ジャーナル 42

      ページ: 1017-1025

  • [雑誌論文] 生体アクチュエーターの基礎と自己運動知覚〜ヒトの筋長力調節と運動系のバーチャルな駆動〜2008

    • 著者名/発表者名
      金子文成
    • 雑誌名

      日本バーチャルリアリティ学会誌 13

      ページ: 101-105

  • [学会発表] 視覚と体性感覚情報との不一致の認知が自己運動錯覚の効果に影響する2008

    • 著者名/発表者名
      金子文成
    • 学会等名
      第63回日本体力医学
    • 発表場所
      大分
    • 年月日
      2008-09-19
  • [学会発表] 視覚情報提示による自己運動錯覚によって皮質運動野は賦活する-経頭蓋磁気刺激を用いた定位基づく脳酸素交換機能マッピング法-2008

    • 著者名/発表者名
      金子文成
    • 学会等名
      第43回理学療法学術大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2008-05-17
  • [学会発表] 視覚刺激による下肢の自己運動錯覚が皮質運動野興奮性に及ぼす影響について2008

    • 著者名/発表者名
      青山敏之
    • 学会等名
      第43回理学療法学術大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2008-05-17
  • [図書] 神経回路網の再編成, 脳科学と理学療法(大西秀明, 盛岡周責丑編集)2009

    • 著者名/発表者名
      金子文成
    • 総ページ数
      50-65
    • 出版者
      三輪書店

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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