研究課題/領域番号 |
20300197
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
渡部 一郎 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (50241336)
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研究分担者 |
勘林 秀行 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (70250628)
長門 五城 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (20457740)
須郷 磨衣子 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (70553303)
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キーワード | 運動療法 / 物理療法 / 交感神経 / 末梢循環 / 知覚閾値 / 脳卒中 / 補装具 |
研究概要 |
目的:脳卒中肩手症候群は、慢性疼痛化しQOL改善、訓練の妨げとなる。申請者はこれまで星状神経節近傍光線療法の有用性や、温熱療法の有用性を自他覚所見、循環、局所発汗量計測による交感神経機能抑制を示した(平成18-19年度基盤研究C)。早期から導入される他動運動は筋血流改善や筋感覚入力が、疼痛などへの関与が考えられ、本研究ではさらに詳細な検討をした。 方法:簡便なホットパックなどの温熱療法、上肢用・下肢用の運動療法器具を考案・作成し、物理療法や、受動運動療法が、触覚(Aβ)、急性疼痛(Aδ)、慢性疼痛覚(C繊維)閾値に与える影響、末梢循環、加速度脈波計による血管弾性度、心拍数周波数解析などの自律神経機能を検討した。 結果:健常男子で頚部接触性温熱療法、上肢・下肢他動運動の各介入で、温熱による疼痛閾値低下、交感神経緩和作用が示された。他動運動では、疼痛閾値上昇を認め、触覚、位置覚情報がゲートコントロール原理に従い疼痛緩和作用が示された。脳卒中例でも麻痺側頚部温熱療法、上肢他動運動、下肢他動運動の作用を検討した。温熱では皮膚血流上昇や、脈拍数低下、局所発汗量低下、周波数解析での交感神経機能の抑制が示された。麻痺側上肢運動では健常人とは逆に微小損傷による交感神経機能亢進が示され、肩手症候群の治療と増悪に関する影響が示された。6編の原著論文が受理され、健常人、リウマチの装具療法も合わせ、関連論文は合計20編に及ぶ。最終年は、成果発表以外にも、手指爪床の毛細血管血流を非侵襲で顕微鏡観察し、血流速度・毛細血管径などの評価法を開発し、今後の研究のパイロットスタディも行えた。本研究は、申請者=医師、理学療法士、看護師、介護福祉士との臨床・研究でのチームアプローチを実践できた。本研究を補助した大学院修士学生2名、博士学生1名は、研究手法の取得や学会発表、関連論文作成指導などで成長した。
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