研究概要 |
治療のため脳表電極を設置された脳神経外科患者の協力を得て、運動あるいは言語賦活時の皮質電気活動を計測し、これらをデコードして脳皮質信号から運動や言語の企図が解読できるか試みた。 (1)治療のため脳表電極を設置された5人の脳神経外科患者の協力を得て、運動賦活時の皮質電気活動を計測した。その結果、1次運動野に設置されたある電極からの運動関連皮質電位(sMCP)変動が統計的にも有意差が確認され、運動種類の判定に最も適していることが判った。 さらに、数学手法であるSupport Vector Machineを応用すると、運動前でも86.6±5.8%の確率で患者がどの様な運動を企図しているかが予想できた。とくに、1次運動野の皮質脳波を用いると、運動開始1000msec前にはチャンスレベルであった運動種類の予想結果の正しさが、運動前後100msecには最大に達することが確認出来た。今後、解析方法の精緻化を進めていきたい。 (2)治療のため脳表電極を設置された1人の脳神経外科患者の協力を得て、単語黙読時の皮質電気活動を計測し,その単語の推定を行った.入力特徴別のSupport Vector Machine (SVM)による黙読単語推定結果.15Hz未満のパワースペクトラムを入力特徴とした時に,RBFカーネルを用いたSVMにより最高の推定性能を得た.この場合に系統的に選択されていた電極は,解剖学的にウェルニケ野,そして電気刺激実験による復唱障害および言語停止を含むかその近傍に存在した.わずか4電極で良いため,侵襲性の低い脳-コンピュータインターフェイス(BMI)の実現に期待できる.今後は,単語数を増加させる. 今後、解析方法の精緻化を進めていきたい。
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