研究概要 |
1.平成21年度中に行ったスイマーマネキンの駆動実験における流体力特性の結果を考察するため,流れの可視化を行った.具体的にはインク注入法を用いた.本可視化実験を,4泳法すべてについて行った.その結果,スイマーマネキンまわりの流れの様相について基礎的な知見が得られた. 2.申請者らの既存の水泳人体シミュレーションモデルを用いて,スイマーマネキン実験を再現するモデルの構築を行った.具体的には,マネキンの身体形状特性,質量特性,実験での運動データなどをモデルに入力した. 3.2.で構築したモデルを用いて,実験再現シミュレーションを行い,シミュレーションより算出される流体力と,実験において測定された流体力との比較検討を行った.その結果,従来のシミュレーションモデルそのままでは誤差が大きく,シミュレーションモデルとしては改良が必要なことを明らかにした. 4.従来のシミュレーションモデルにおいては,流体力は付加質量による慣性力,接線方向抵抗力,法線方向抵抗力の各成分の合計で表され,各成分の大きさは,係数(流体力係数)によって調整されている.そこで,実験結果とシミュレーション結果の誤差を最小化するような流体力係数を,最適化計算により求めた. 5.上記の改良された流体力係数を用いたシミュレーションモデルを用いて,再び実験再現シミュレーションを行い,流体力についてシミュレーションと実験の比較を行った.その結果,改良されたモデルでは,実験結果の非定常変化が非常によく再現され,定量的にも誤差が十分小さくなることが確認でき,高精度シミュレーションモデルの開発に成功した. 6.国内・国外の会議に参加し,本研究に関連する研究の情報収集・資料収集ならびに本研究の成果発表を行った.
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