研究課題
本研究の目的は、教育者でありかつ国際オリンピック委員であった嘉納治五郎(1860-1938)の体育思想が、海外において如何なる評価を受け、また実際にどのような影響を及ぼしたのかについて明らかにすることにある。本年度も前年度に続き、嘉納が創って世界に広めた講道館柔道について、研究分担者らの協力を得ながらヨーロッパでの調査活動を行った。フランスでは、国立科学研究センター研究員のYves Cadot博士と現地の嘉納に対する評価について研究討議を行い(研究分担者・和田も参加)、ドイツでは、研究分担者(ベネット)とA.Niehaus博士(Prof.of Universiteit Gent)の協力を得て、ケルン体育大学図書館において第11回オリンピック・ベルリン大会と嘉納の接点、および1930年代の格闘技雑誌(Kraft sport誌)に掲載された嘉納/柔道の関連記事について調査した。前年度におけるイギリスでの調査結果も踏まえ、それらの成果は、後記のようにいくつかの論文、シンポジウムや学会で発表したが、嘉納がIOC委員であったことに示されるように国際派日本人であったこと、および嘉納が海外において有する知識人や政治家あるいは企業家といった人的ネットワークが、嘉納/柔道の評価を高めることに有効に機能していたことが明らかになってきている。また、嘉納が為した中国人留学生に対する教育の評価については、研究分担者(真田、寒川、鈴木)が日本国内および中国での調査を進めており、後記のような論文、学会において成果の一部を発表した。
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スポーツ人類学研究 第10・11合併号
ページ: 1-17
International Journal of Sport & Health Science 第7号
ページ: 23-30
講道館科学研究会紀要 第12号
ページ: 1-15
ページ: 17-28