今年度は、食後に行う「分割法」による運動が血糖値の変動にもたらす効果を、「連続法」による効果と比較した。健康な成人男性8名を対象に、(1)ブドウ糖摂取30分後から30分間のペダリング運動を休息を挟まずに行う試技(連続法)、(2)ブドウ糖摂取30分後から15分間のペダリング運動を10分間の休息を挟んで2回行う試技(分割法)、(3)ブドウ糖摂取後に運動を行わずに安静にする試技(安静試技)からなる3試技を設け、それぞれ異なる日に行わせた。ブドウ糖摂取後120分まで経時的に採血し、血糖値(血中グルコース濃度)、血漿インスリン濃度などを測定した。また、心拍数を連続的に計測した。ペダリング運動では、事前に測定した最大酸素摂取量の60%に相当する強度を用いた。その結果、いずれの試技においても、ブドウ糖の摂取により血糖値および血漿インスリン濃度は有意に増加した。一方、連続法および分割法試技では、ブドウ糖摂取後30分の時点から行った有酸素運動により、血糖値および血漿インスリン濃度は速やかに低下した。しかし、連続法による運動では、運動終了後に血糖値が再度上昇する「リバウンド現象」が認められた。これに対し分割法による運動では、上述の「リバウンド現象」が比較的小さい傾向にあり、ブドウ糖摂取後75~90分における血糖値は連続法に比較して有意に低値を示した。以上の結果は、休息を挟みながら間欠的に行う分割法による運動は、食後血糖値の過度の上昇を防ぐ上でも有用であることを示唆するものである。
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