研究概要 |
競泳選手によって生じる水抵抗に影響を及ぼす人体の三次元形状と水巾姿勢について、レーザーシート光を用いた三次元人体形状測定装置と水巾の動作分析により、競泳競技の競技力向上に関する科学的エビデンスを得ることを目的とした、またまた本研究では、今まで主にDempsterらによって屍体を用いて行われてきた様式と同一の体分節切断方法を採用するためのソフト開発を行うと共に、生体から得られたデータを屍体による直接法および人体の幾何学的モデルによる関節法と比較することによりそれらの差異を検討した。 長育、周育、幅育、水平断面積、全身体表面積、全身及び体分節体積は三次元人体計測法(BLS:Body Line現有設備)により求めた。身体形状から得られる体重、体積、身体重心位置及び体積中心位置を算出し、水泳技術に関わる水抵抗値への影響について検討した。被験者は大学生の男女競泳選手と一般学生を対象とした。三次元人体計測法を用いて女子水泳競技選手の身体を計測し,長育,周育,体積,断面積のトレーニングに伴う身体のシーズン変化を評価した結果、肩部体積/全体積,身体上部体積/全体積が有意に大きくなっており,大腿部の周育,身体下部の体積/全体積は小さくなっていた.四肢および体積の断面積の形状変化もみられ,継続的トレーニングによる体組成の変化の影響であることが考えられた。 平泳ぎにおける1ストローク巾の泳速度変化と水中動作からパフォーマンスへの影響を検討した。泳速度計測機SpeedMeterからのロープを腰に装着し、25m平泳ぎ全力泳を行い、経時的速度変化を計測した。水巾フォームは水巾モニターシステムで泳者の側方から撮影した。SMから得られた1ストローク巾の速度変化は映像から求められた速度変化と同期し、比較した。両被験者群ともKick時とPull時の2つの加速局面を繰り返すが、特に競泳選手ではKick時による加速が大きく、その後の減速が少ないことが示された。両群間のPull時での姿勢の違いが1ストローク中の加減速に関与し、バフォーマンスへ影響することが示された。
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