競泳中に泳者によって生み出される水抵抗に影響を及ぼす競技者個々の特性としては、競技者の人体形状、水中でのフォームおよび競技者が着用するスイムスーツなどが挙げられることから、本研究では競泳選手によって生じる水抵抗に影響を及ぼす人体の三次元形状、水中姿勢、および着用するスイムスーツの特性について、レーザーシート光を用いた三次元人体形状測定装置、MRI、水中の動作分析および回流水槽による水抵抗値の実測などの具体的手法を用いて分析することにより、競泳競技の競技力向上に関する科学的エビデンスを得ることを目的とした。 本年度では、以下の2つに焦点をあてて研究を行うことを計画した。1)児童からトップ競泳選手までの三次元人体形状計測による全身および体分節に関する形状、体積および体表面積の発育による横断的変化、2)レベルの異なる競泳選手と一般成人の三次元人体形状と全身MRI計測による全身および体分節体積および質量の違いに関する検討 平成20年度で行った被験者を選択してレベルの異なる競泳選手と一般成人の三次元人体形状と全身MRI計測による全身および体分節体積および質量による身体パラメーターを計測した。またスイムスーツ種類の違いによる水抵抗値の違いをBLSによる人体形状推測と回流水槽あるいは牽引による実測値から比較検討した。さらに、これまでの身体三次元形状や水抵抗の違いが、実際の競泳動作中の移動速度の変動をもたらす影響を検討した。このことは、トップアスリートおよび目指す競技者の抵抗値におけるパラメーターの相違点を解明することにより、競技力向上につながる因子が明確となることが考えられる。
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