研究概要 |
研究プロジェクトの目的として挙げた3項目中の第1項目「様々なレベルの選手におけるバット速度及びローリングの速さを計測・蓄積することにより、バットの回転運動に関する特徴を把握し、個人差や打球の打ち分けによる違いを明らかにすること」を目的とした研究を実施した。ジャイロセンサ(ARS-12K,DTS社)をグリップエンドに装着して、バットのスイング速度とローリングの早さを計測した。計測値の妥当性は、素振りおけるスイング速度を二つの異なるジャイロセンサを用いて計測した値を比較することにより検証した。このジャイロセンサを装着したバットを用意し、大学一部リーグに属する硬式野球チームのメンバー(延べ36名)を被験者として、「ロングティー(LT)」と「フリーバッティング(FB)」におけるデータ収集を実施した。LTは、斜め前方からトスされたボールを、通常の打撃における強度で、指定された方向に打ち返すものとした。FBは、ピッチングマシンが投球したボールに対し、通常の打撃における強度で、ボールのコースに応じてレフト・センター・ライト方向に自由に打ち返すものとした。全被験者の全打撃動作において、インパクト時におけるバットはスイング方向に転がるようにローリングを行っていたことが確認された(LT:955deg/s&FB:1093deg/s)。ロングティーにおいては、打球の打ち分けによってローリング速度が有意に変化(引っ張り:985deg/s&流し打ちFB:826deg/s)し、フリーバッティングにおいては、変化する傾向(引っ張り:1218deg/s&流し打ちFB:941deg/s)を示した。また、バットを上方へ振り上げる「アッパースイング」を行う選手のほうが、下方へ振り下ろす「ダウンスイング」の選手よりもローリング速度が有意に速いことが明らかとなった。
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