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2008 年度 実績報告書

海馬の神経新生と認知機能を高める最適運動強度の探索:ストレスの関与から

研究課題

研究課題/領域番号 20300214
研究機関筑波大学

研究代表者

征矢 英昭  筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50221346)

研究分担者 朝田 隆  筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90184142)
キーワード軽運動 / 成熟海馬 / 神経新生 / ストレス / 走運動 / 幼弱神経 / 認知機能 / 乳酸閾値
研究概要

海馬は学習・記憶や空間認知機能を担う脳部位として知られ、歯状回では成熟後でも運動することで神経新生が高まり(成熟海馬神経新生,AHN)、認知機能向上に寄与することが示唆されている。しかし、そのほとんどが自発的な輪回し運動を用いた研究によるもので、走行量以外に、運動強度(速度)など最適な運動条件の詳細についてはいまだ決着をみない。運動は強度によりでストレスとなる。自発的な輪回し運動でも、走リ過ぎは副腎も肥大し、血中に増加する副腎皮質ホルモン(GC)の影響で神経新生は抑制される。本研究では、その問題を解明するための第一ステップとして、ストレスを伴う・伴わない、二つの異なる運動強度による独自のラット(マウス)の走運動モデルを用い、"海馬歯状回"の神経新生ならびに空間認知機能をともに高める最適運動強度は何かを明らかにした。LT強度を境に低強度群(〈LT、ストレスフリー群)と中・高強度群(≧LT)(ストレス運動群)の3群を設定し、2週間の走運動トレーニングを行わせ、AHN促進効果が最大となる強度を明らかにする。動物はラットとマウスを両方用いた。マウスのLTは今回初めて同定を試み、ラットと同様、分速20m付近にあることを確認した。両動物とも2週間の走運動トレーニングを行わせた。神経新生の解析は、成熟神経細胞だけでなく、DCX(ダブルコルチン)陽性幼弱神経細胞についても評価し、運動効果の作用点を検証した。その結果、両動物ともに低強度運動でも十分AHNが増加し、その効果は中強度でも変わらなかった。特にマウスの中強度運動では運動効果が消失することがわかった。中強度運動では乳酸やコルチコステロンの増加を伴うことから、繰り返し脳にはたらくステロイドが海馬の幼弱神経の発達もしくは成熟神経の生存を阻害する可能性がある。なお、今回、組織化学に用いたstereologyはスペインカハール研究所との二国間共同研究により導入した方法により行った。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 第7章, 海馬の可塑性を高める運動効果と分子機構.特集,分子メカニズムから考えるスポーツ効果:生活習慣病と関連して.2008

    • 著者名/発表者名
      征矢英昭
    • 雑誌名

      臨床スポーツ医学 10

      ページ: 1175-1180

  • [雑誌論文] 環境と神経新生2008

    • 著者名/発表者名
      山村侑平,征矢英昭
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience 26

      ページ: 912-914

  • [雑誌論文] アーリーライフステージの運動と海馬の発達・社会ストレスの影響.2008

    • 著者名/発表者名
      岡本正洋,征矢英昭
    • 雑誌名

      子どもの発育発達 5

      ページ: 212-216

  • [学会発表] Would mild exercise be beneficial for hippocampal functions?2008

    • 著者名/発表者名
      Soya H, Okamoto M, Yamamura Y, Deocaris CC
    • 学会等名
      Strategies to reduce risks on the brain development contingent to urbanization, Japan/China Symposium 2008
    • 発表場所
      Tsukuba
    • 年月日
      2008-10-24
  • [学会発表] 長期にわたる低強度走運動トレーニングは海馬歯状回を肥大させる.2008

    • 著者名/発表者名
      山村侑平,西島壮,Deocaris CC,岡本正洋,征矢英昭
    • 学会等名
      第63回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      大分
    • 年月日
      2008-09-20
  • [学会発表] 認知機能を高める運動適応に関連した分子ネットワークの理解:システム生物学の応用2008

    • 著者名/発表者名
      Deocaris CC,Rakwal R,山村侑平,平野美里,柴藤淳子,岡本正洋,西島壮,増尾好則,征矢英昭
    • 学会等名
      第63回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      大分
    • 年月日
      2008-09-20
  • [学会発表] 海馬の活性と可塑性を高める運動強度と分子機構,シンポジウム:運動はメンタルヘルスの維持改善に有効か.2008

    • 著者名/発表者名
      征矢英昭
    • 学会等名
      第143回日本体力医学会関東地方会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-07-05
  • [図書] 認知機能のアンチエイジング:運動、脳とアンチエージング(抗加齢)医学、IIアンチエイジングの医学と臨床改訂2版、日本抗加齢医学会編2008

    • 著者名/発表者名
      井上恒史郎,征矢英昭
    • 総ページ数
      3
    • 出版者
      Medical View

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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