研究課題/領域番号 |
20300224
|
研究機関 | (財)国際科学振興財団 |
研究代表者 |
村上 和雄 (財)国際科学振興財団, バイオ研究所, 所長 (70110517)
|
研究分担者 |
堀 美代 (財)国際科学振興財団, バイオ研究所, 研究員 (90399329)
坂本 成子 (財)国際科学振興財団, バイオ研究所, 研究員 (60419869)
大西 淳之 東京家政大学, 家政学部, 准教授 (40261276)
浦山 修 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (90114743)
|
キーワード | ストレス / 笑い / 陽性感情 / SOC / Ticling / 遺伝子発現 |
研究概要 |
本研究は、心理的ストレスに対するコーピングとして、陽性感情を表出することの効果を動物モデルとヒトの職場ストレスをモデルに分子生物学的に検証することを目的とする。 本年度は社会隔離飼育(SI)下の仔ラットを用いて、快刺激のストレス耐性効果を、個体のストレス応答性の変化として捉え検証した。快刺激(tickling刺激)による快情動の賦活化は、tickling刺激によって表出される50kHzの発声と、接近潜時を指標として解析し、評価した。離乳直後(21日齢雄)のF344/Nラットを個別飼育し、継続的に2週間tickling刺激を施した群と対照群の個別飼育群に対して、恐怖条件づけへの影響を、保持テストのフリージング反応、HPA系および自律神経系への作用によって解析した。その結果tickling刺激群において、恐怖条件づけによるストレス応答性が軽減されることを見出した。 一方、脳卒中患者のリハビリテーションを行う医療従事者に対し、グループエンカウンター手法を用いた「笑い」の研修を行い、ストレス対処力の指標であるSOC (Sense of Coherence)レベルの違いによる研修効果について、心理指標(POMS、多元的共感性尺度)生理・生化学指標(血液中コルチゾール濃度、MHPG濃度、NK細胞活性)の視点から検証した。また効果のあった4名に対して研修前後で発現変動する遺伝子の網羅的検索を行った。実験は、リハビリテーションスタッフ26名(年齢29.8±1.2歳)を対象に行い、研修前後に各2ポイントのデータを採取して比較解析した。その結果、SOCの高い被験者で、血中のストレス指標の改善とPOMSの混乱・緊張・疲労が低下し、共感性尺度におけるポジティブ感情への好感と共有の各項目で改善がみられた。 本研究の実験プロトコールは総合病院土浦協同病院の倫理委員会の承認を受け、研究に先立って、被験者に説明し、書面による同意を得て実施した。
|