本研究の目的は、生活習慣病の発症進展に対する生活習慣の影響を、実地診療現場で利用できるエビデンスとして確立することである。本年度は8つのサブプロジェクトのうち2つ、すなわち、サブプロジェクト[4]中高齢者におけるより効率的な生活習慣病検診システムの開発-健診蓄積データを活用した効率的な生活習慣病・動脈硬化疾患予知システムの開発、サブプロジェクト[5]すでに生活習慣病を有する中高齢者の二次予防エビデンスの確立-糖尿病をモデルにした合併症の二次予防のための生活習慣療法エビデンスの確立を中心に実施した。サブプロジェクト[4]については、過去の健診データとその後の生活習慣病(脳卒中や心疾患を含む)の発症との関係を国際誌に発表し、サブプロジェクト[5]についても、同様に、生活習慣の糖尿病合併症に対する効果を世界に先駆けて、欧州糖尿病学会誌に発表し、世界的な注目を集めた。一方、サブプロジェクト[1]既存の生活習慣研究の定量的メタアナリシスによるエビデンス化-定量的メタアナリシス手法を用いた生活習慣療法の最上位エビデンスの創成-についても、さらに研究が深化し、持久運動能力と心血管疾患発症リスクとの関係を世界で初めて定量化して、診療健診現場で使えるエビデンスとして提示し、医学界を代表するジャーナルであるJAMAなどにも掲載された。今後、これらを元にしたさらに深化した検討がさらに予定されている。
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