研究概要 |
【研究目的】微量の血液検体で、多検体のスクリーニングを可能にする動脈硬化の発症・進展を予測できるバイオマーカー蛋白の定量法(サンドイッチELISA法)を確立し、動脈硬化性疾患の早期診断・進展予防を目指す。 【少量の血液検体からバイオマーカー蛋白を特異的に定量できるサンドイッチELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay:酵素免疫測定法)系の確立(池田/高木)】我々は、動脈硬化の発症に直結する新規バイオマーカー蛋白質をヒト流血中より発見し、分離精製した。精製蛋白をマウスに免疫し、本蛋白に対して、特異的なモノクローナル抗体を2種類作成した。それぞれのモノクローナル抗体は、本蛋白に対して、異なる抗原部位を認識することができる。それ故、バイオマーカー蛋白をサンドイッチすることが可能となった。モノクローナル抗体Aを96穴プレイトに結合させる固定化抗体として使用し、他のモノクローナル抗体Bを酵素(HRP, horse radish peroxidase)標識し、サンドイッチELISA法を確立した。 【健常人および動脈硬化既往歴者の血液におけるバイオマーカー蛋白の濃度定量(池田/高木)】前年度、バイオマーカー蛋白の検出をウエスタンブロット法にて、健常者14例と動脈硬化症者5例の解析を行ったが、本年度は、検体数を増やして、更なる解析を行った。健常者11名および動脈硬化既往歴者2名からバイオマーカー蛋白を本蛋白に対するモノクローナル抗体カラムにて精製し、SDS電気泳動およびウエスタンブロット法により解析した。その結果、健常者からは、この蛋白はほとんど検出されなかったが、動脈硬化既往歴者において、十分量のバイオマーカー蛋白が検出された。これら健常者および動脈硬化既往歴者のバイオマーカー蛋白をモデル系として、サンドイッチELISA法により、定量できる系の開発を行った。
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