寝姿勢の睡眠への影響や、その妥当性に関する科学的検証を行うため、昨年度に引き続き、年齢、性別の異なる4つの被験者群で体圧分布を計測する実験と日常睡眠における体動の実測を行った。 終夜睡眠による体動回数、寝姿勢の実測実験 <目的>姿勢変換の妨げとなりうるセンサー類を極力排除し、非侵襲状態で終夜睡眠実験を行い、日常生活での体動や静止持続時間等について検討した。<方法>自宅の通常の寝具で青年男女、高齢者男女計40名に2夜連続で日常睡眠を取らせた。体動、心拍数等を腹部に固定する記憶式計測器で計測した。<結果>(1)就床、起床時刻とも高齢者のほうが早く、就床時間は高齢者のほうが長い傾向にあった、睡眠効率は若齢者、高齢者とも女性が高く、高齢者男性が最も低かった。(2)体動回数は若齢者よりも高齢者、女性よりも男性が多かったが、高齢者は中途覚醒時の体動が多く、終夜の体動回数の約半分を占めた。(3)心拍数は高齢者女性が終夜を通して高い値を示した。副交感神経活動の指標である%HFは若齢者では入眠直後から優位であった。(4)心理評価では高齢者のほうが良い睡眠感が得られた。 マットレスと寝姿勢による寝姿勢体圧分布に関する実験 <目的>昼間に代表的な仰臥位と側臥位の2姿勢での体圧分布を4種類のマットレスで計測した。<方法>マットレスは堅さと反発性能の異なる4種類とした。マットレス上に体圧計測シート(FSA4)を敷き2姿勢をとり3分間リラックス状態を取って、体圧分布を計測した。被験者の身体<結果>(1)若齢者より高齢者のほうが最大体圧が高く、接触面積が広かった。(2)マットレスが硬くなるほど、接触面積が狭くなり、最大体圧も高くなる傾向が認められた。体位の影響は、仰臥と側臥で異なった。(3)体型と寝姿勢については、側臥位ではW/H比と最大体圧比は負の相関関係があることが明らかになった。
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