寝姿勢の睡眠への影響や、その妥当性に関する科学的検証を、昨年度に引き続きおこなった。 マットレスと寝姿勢による寝姿勢体圧分布に関する実験 〈目的〉昼間に代表的な仰臥位と側臥位の2姿勢での体圧分布を4種類のマットレスで計測した。〈方法〉マットレスは堅さと反発性能の異なる4種類とした。マットレス上で体圧分布を計測した昨年のデータをもとに、被験者の身体特性との関連を検討した。〈結果〉(1)マットレスが硬くなるほど接触面積が小さく、最大体圧は高い傾向が認められた。(2)仰臥と側臥では最大体圧がかかる部位が異なり、それは体格と関連が見られ、仰臥位ではW/H比と最大体圧比は正の相関関係が、側臥位では負の相関関係が認められ、姿勢による体型との関連の相違が見られた。(3)寝心地申告とマットレスの硬さ、被験者群、体格等との関連を検討したが、明確な傾向は得られなかった。(4)以上より寝姿勢はマットレスの硬さにより大きく変わるわけではなく、マットレスが柔らかい方が、寝ている被験者の体型的影響が大きく現れる事が明らかになった。(5)側臥での寝姿勢は、肩の位置などに、自然な寝姿勢での検討の必要がある事が示唆された。 終夜睡眠による体動回数、寝姿勢の実測実験 〈目的〉姿勢変換の妨げとなりうるセンサー類を極力排除し、非侵襲状態で終夜睡眠実験を行い、日常生活での体動や静止持続時間等について検討した。〈方法〉実験室で青年男女計14名に4夜連続で8時間睡眠を取らせた。体動、心拍数等を腹部に固定する記憶式計測器で計測した。また、体圧分布を終夜計測した。〈結果〉(1)体動には個人差が大きく、明確な傾向は認められなかった。(2)硬さによる影響な小さいが、寝姿勢変換を伴うような大きな体動回数は柔らかいマットレスや反発弾性の小さいマットレスで少なかった。また手足を動かすような小さな体動は硬いマットレスの方が多い傾向にあった。
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