研究課題
人が食品を咀嚼する間に食品から放散される香気成分が口腔から後鼻孔へと抜ける香り(=「咀嚼香」=レトロネーザルフレーバー、retronasal flavor)に影響を及ぼす咀嚼特性を検討することを目的とした。嫌いな食べ物を食べなくてはならないときに鼻をつまんで呑み込む方法は、この咀嚼香を遮断することを意味しており、このことからわかるように、咀嚼香は食品のおいしさを強く左右する重要な要因となっている。1.人パネリストデータの収集咀嚼香に影響する咀嚼特性原因には、人の咀嚼力、咀嚼速度、息流速、唾液分泌量・速度、嚥下速度があげられるが、これらの値は人それぞれに強く依存する(年齢や食べ癖、筋力などの違いの為)。そこで、人が実際の食品を咀嚼するときのデータを収集した(20歳~76歳)。2.口腔咀嚼モデル器の改良その結果、研究室で従来から所有していた創成"口腔咀嚼モデル器"では対応できない咀嚼条件のあることが判明した。そこで、モデル器のモーター出力の切り替えシステム、咀嚼力感圧センサーの切り替えシステムを大幅に改良し、より咀嚼頻度が高く、咀嚼力の高い範囲の測定も実行できるようにし、さらに付着力も測定できるようにして、実際の人パネリストの咀嚼特性をより正確に再現できるものに改造した。3.改良咀嚼モデル器による咀嚼香量測定改造"口腔咀咽モデル器"を使って、様々な咀嚼特性条件下での様々な食品の模擬咀嚼を行い、模擬咀嚼中の放散香気量を測定した。その結果、食品成分量(脂質含量の大小、水分含量の大小)の違いと、咀嚼中の呼気流量の大小が咀嚼香の量に強く影響していることが示された。
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Food Hydrocolloids
巻: 25 ページ: 1016-1024
巻: 25 ページ: 1210-1218
Expression of multidisciplinary flavour science
巻: (proceeding) ページ: 125-128
http://www.nvlu.ac.jp/food/members/002.html