研究課題
ハーブ、ベトナム産植物など20種類の食品を、ヒト臍帯由来正常細胞HUC-F2細胞に添加し、老化・寿命関連遺伝子SIRT1及びmTOR、抗酸化遺伝子SOD2及びHMOX1、細胞周期関連遺伝子MDM2及びCDK4、転写因子FOXO1について、mRNA発現量の変化をリアルタイムPCRにより測定することで、抗老化、寿命延長効果の期待される食品のスクリーニングを行った。サフラワーとハイビスカスにはSIRT1発現を促進することが示唆された。またTramとGuavaにはmTOR発現を抑制することが示唆された。SIRT1の発現上昇または活性化、mTORの抑制により寿命が延びることが知られており、サフラワー、ハイビスカス、Tram、Guavaには抗老化・寿命延長作用が期待できる。ガック、Tram、voi、HOE、花粉荷、Guava、セントジョーンズワート添加によりSOD2発現量が減少し、マローブルー、Guava添加によりHMOX1発現量が減少した。これらの食品中の抗酸化物質が活性酸素を除去したため、抗酸化遺伝子であるSOD2、HMOX1の発現量が減少したものと考えられた。一方、ローズマリー添加によりSOD2、HMOX1共に発現量は増加した。抗酸化物質による抗酸化とは別に、SOD2、HMOX1発現量上昇作用による抗酸化作用が示唆された。CDK4とMDM2は細胞周期制御に関わっており、CDK4の活性化、MDM2の抑制により細胞分裂は促進される。CDK4発現が増加かつMDM2発現が減少したローヤルゼリー、ハイビスカス添加群では細胞分裂が促進されたと考えられた。mTORとFOXO1の結果には相関性が見られた。TramとGuavaは、寿命延長効果が期待できる。神経細胞に各種の食品成分を添加しマイクロアレイ分析を行ったところ、アガリクスで約400種の遺伝子の増加が認められ、その中で特に性ホルモンに関連する分子の発現が増加していた。またPQQ添加ではアガリクスほど遺伝子の発現の増加は見られなかった。今後これらの食品のどの成分がこのような効果をもたらしたのかを探るため、その成分の特定を行っていく予定である。
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http://www.cf.ocha.ac.jp/ieshl/otsuka/pub/index.htm