研究課題
本研究は肥満を初めとする生活習慣病における免疫機能の変化を解析し、生活習慣病に対する免疫栄養学的アプローチの基礎研究と臨床応用への手がかりを探ることを目的とする。1.生活習慣病モデルマウスにおける免疫機能の解析アトピー性皮膚炎を自然発症するNC/Ngaマウスをアレルギーモデルとして用い、食餌性肥満を誘導し、さらにストレスを負荷した時の免疫機能を検討した。その結果、肥満で増加したレプチンがストレスでさらに上昇し、サイトカインバランスを変化させ免疫系に影響を与える可能性が示された。また遺伝的肥満モデルとしてob/obマウスを用い、免疫系に影響する因子としてストレスタンパク(HSP)の発現を検討した。その結果、肥満モデルマウスでは胸腺、脳におけるHSP発現が著しく低下し、免疫系との関連性について解析中である。2.ライフスタイルと免疫機能妊娠時の栄養と出生仔の免疫機能との関連性を検討するために、母マウスに妊娠初期から高脂肪食を与え、出生仔マウスの栄養指標および免疫機能を解析した。その結果、胎生期からの高脂肪食摂取により、出生仔では著明な脂肪肝に加えて、胸腺の萎縮、抗原特異的免疫機能の低下、IgE上昇など免疫系への影響が明らかとなった。3.ヒト高齢者における生活活動・ストレス・免疫機能の解析在宅高齢者を対象として生活活動度、ストレス(抑うつ)について調査し、栄養指標(食事調査、血液検査、身体測定)および免疫機能を測定した。その結果、MNA (Mini Nutritional Assessment)は在宅高齢者の栄養不良リスク者を抽出するのに有効であり、栄養不良とうつ状態、生活活動能力に関連のあることが明らかとなった。さらにタンパクエネルギー栄養障害(PEM)マウスモデルを用いて免疫機能を解析中である。
すべて 2008 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
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Journal of Nutrition, Health & Aging (印刷中)