本研究では、中学校の生徒を中心とし、小学校高学年の児童までを視野に入れて、かれらの数学の学びに焦点を当て、発達段階や学習内容の適時性などに配慮しつつ、数学的活動が学校数学において一層意味を持つようするため、数学的活動をかれら自ら展開できるようにするため、数学的活動を組織化しそれを促すための基本枠組みを理論的に構成し、それに基づき教材パッケージ「数理探究」を開発するとともに、その学習指導と評価の在り方についても検討し、授業実践を通して検証しつつ典型的な事例を提案することを目的とする。 数学的活動の基本的な柱としては、「数学を創る」、「数学を使う」及び「筋道を立てて説明する」の大きく三つの活動があるが、本研究では、主として「数学を創る」と「数学を使う」活動に焦点を当てる。そして、それらのいくつかについて小・中学校を中心として実践研究を重ね、実現可能性を確認し、具体的実践事例としてまとめ提案する。 これまでに、オランダの現地調査により、「数学A-lympiad」及び「数学B-day」の教材開発の考え方を、昭和10年代後半における中等学校用教科書「数学第一類、第二類」及び国民学校高等科用教科書「高等科算数一、二」(試案)について教材化の理念を、さらに、昭和20年代の生活単元による教育で使用された教科書及びその依拠した学習指導要領(試案)を中心に問題場面や状況の設定の仕方や数学的な内容との関連の付け方などについて、それぞれ明らかにしてきた。今年度は本研究の最終年度に当たるので、これまでの成果を踏まえて作成した教材パッケージ「数理探究」の枠組みの理論的構成の精緻化と教材開発に取り組んだ。昨年度予定していた米国調査が東日本大震災のため実施できなかったので、今年度実施し、教材パッケージ「数理探究」の枠組みの理論的構成の精緻化並びに事例の開発に活用した。そして、研究成果の一端を国内外の学会や書物等で発表し、研究の成果の共有に努めた。
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