平成21年度は、電子黒板と教師の利用状況を実験によってあきらかにすべく、視線追跡・解析装置を購入し、実験のために実験を想定したテストを行った。しかしながら、購入した視線追跡装置の測定精度が低く、平成21年度として当初予定していた実験は変更し、アンケートとインタビューによる調査となった。一方で、簡易的に顔を固定する装置を作成するなど、視線追跡装置の精度を上げるための工夫を凝らした。平成22年度にはそれを利用した測定を試みる。 授業で用いる入力デバイスとして何が最もふさわしいかの調査を実機等を用いて調査した。普及の観点から、学生が利用するタブレットデバイスとしては、現在最も普及している任天堂DSが有力であることがわかった。しかしながら、DS上の自由記述データの取得とソフトウェア開発には任天堂とのライセンス契約が必要であり、個人研究ができないことも分かった。そこで、任天堂DSの文字認識機能とブラウザ機能を活用した電子黒板との連携を行うことを目指し、ソフトウェアのフレームワーク開発を開始した。未完ではあるが、学生が入力した文字情報が標準のDSウェブ機能を使用して、電子黒板でそれらの結果を表示する設計を行った。一方、教師が利用するためのタッチパネル式情報端末のための機能を明らかにするため、文献調査および、タッチパネルを多用している博物館等に多く出向き取材調査を行った。 さらに、平成21年度に、そもそも授業時や、試験時にノート上にアノテーションをすることの学習効果があるのかどうかを文献調査および、実験によって検証を行った。被験者約120名に対して実験を行い、単純な形式の定まったアノテーション以外は、効果がないという結論に至った。コンテンツに対してアノテーションをして理解を深めるような方式ではなく、生徒のアノテーションを教員が利用する方が、タブレットデバイスと電子黒板の連携では重要であることが示唆された。
|