研究課題/領域番号 |
20300281
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
稲垣 真澄 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・知的障害研究部, 部長 (70203198)
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研究分担者 |
加我 牧子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所, 所長 (20142250)
矢田部 清美 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・知的障害研究部, 協力研究員 (90455410)
後藤 隆章 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・知的障害研究部, 流動研究員 (50541132)
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キーワード | 学習障害 / 認知神経科学 / 読み書き障害 |
研究概要 |
本研究の最終目的は通常学級に通う発達性読み書き障害児の学習全般に不可欠な読み書き支援法を構築することである。国内外の先行研究より、発達性読み書き障害の病態およびその原因は一様ではなく、個々の類型化が必要で、さらに、その類型化に即した支援の必要性が国内外で述べられている。しかし、日本語においては、多人数を対象とした発達性読み書き障害の類型化に基づく支援はほとんど例がなかった。 22年度は(1)認知神経心理学的モデルに基づいた小学生用漢字単語課題の開発を行い、東海地方の公立小学校1校16クラスから協力を得て、通常学級在籍の小学2年~6年生の492名に検査を実施した。定型発達児の漢字習得度を元に、発達性読み書き障害や注意欠如・多動性障害児の所見特徴を見いだした。すなわち、前者は後者より音韻表象の難易度を表す読替漢字の読替有条件から初出漢字の読替無条件を差し引いた結果で成績が悪い傾向があった。(2)発達性読み書き障害児における漢字と平仮名の読み書き障害様相の関連性を検討したところ、単語速読課題の音読時間における標準化得点から漢字の読み課題の正答率に対する標準偏回帰係数が有意であったが、その他の音読課題における音読時間の標準化得点に関しては関連性が認められなかった。漢字の読み成績に与える認知特性の影響を検討すると、WISC-IIIの下位検査の単語と数唱の評価点が高いほど、漢字の読み成績が高いことが明らかにされた。(3)漢字の読み書き介入効果を検討し、認知神経心理学的モデルにワーキングメモリを組み込んだモデルが有効であることを推測した。 上記研究施行はいずれも「臨床研究に関する倫理指針」を遵守した上ですすめられた。
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