研究課題
大学入試センター試験等の受験を断念せざるを得なかった文字認知に障害を有する重度の読字障害者及び中途失明者の受験を可能にするため、問題文書構造表方式の音声問題を開発し、第1次評価実験を行った。初年度平成20年度は、見えない2次元コードを活用して文書構造表方式の音声問題を試作し、次の研究を行った。開発当初に使用していた「2次元極小不可視バーコード」に特許上の問題が発生したため、平成21年6月までの科学研究費の繰り越し使用の許可を得て、急遽2次元コードをグリッド・オンプットに変更した。(1)フィジビリティテストの結果、本音声問題は、問題の文書構造だけを記号で表記した文書構造表と問題を朗読した音声データを内蔵したコード・リーダ付きの音声ICプレイヤの2つだけで試験の実施が可能であることが見いだされた。読字障害者は通常文字で、中途失明者は点字で印刷された文書構造表を使用して、長文の問題文それ自体を視覚や触覚で読まなくても問題文にランダムアクセスしながら音声で自由に聞く事が可能となる。(2)図に、見えない2次元コードを一緒に重ねて印刷しておけば図の出題も可能となるため、中途失明者用に表題や名称等、図の文字部分に2次元コードを印刷した触読図印刷システムを開発した。(3)開発元で試作中のLEDプリンタで2次元コードを印刷するシステムを使用して文書構造表を作成するオーサリングシステムを開発した。(4)重度視覚障害の高校生24名、弱視高校生8名、及び健常高校生20名を被験者として第1次評価実験を実施した。その結果、この文書構造表方式の音声問題は点字問題と同等なテストメディアであることが見いだされた。視覚障害被験者は簡単な練習だけで点字問題とほぼ同様な解答速度で解答でき、同様な得点を取得可能であった。また、健常高校生の通常文字問題とこの音声問題の得点分布にも有意差は認められなかった。
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IEICE Transactions on Information and Systems E92-D, 2
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